櫻いいよ「交換ウソ日記」感想

櫻いいよ先生の「交換ウソ日記」を読みました。ネタバレを含む感想を書いているのでネタバレが苦手な方はお読み頂くのをお控えくださいませ。

 

 

「今時交換日記かぁ、アナログだ」と思ったのはきっと私だけではないはず。科学の進歩を利用したデジタル機器は使用しないとか昭和かよ!っと思いました。もしかして「本当にこのお話は電子機器が発達していない現代以外の時代なのか?」と思ってしまいましたが物語の中でメールを使用しているシーンは有りました。

 

現代のお話だ!っと思いこれほどにまで安心した物語は初めてだと思う。

 

しかし、物語の最後まで交換日記は続けられました。

 

手書きの文字だから伝わる事、伝わらない事が有り交換日記というデバイスが良い味を出しているお話だったと思う。これを読んで私自身、小学生の時クラスメイトと回していた交換日記と手紙を思い出した。

 

 

 

あらすじ

ヒロインの高校2年生の希美は移動教室先の机の中から「好きだ」と書かれた手紙を見つけた。その手紙の送り主は学校内で女子生徒からも男子生徒からも人気のある瀬戸山からだった。

 

しかし、瀬戸山は希美に手紙を送ろうとしていたわけではなく、江里乃に手紙を渡すつもりだった。つまり、間違えて希美に手紙を渡してしまった。

 

希美は「どうして関りの無い瀬戸山から突然ラブレターを貰うんだろう?何かの間違いだろう」と思ったが、「お付き合いは出来ません」という趣旨の返答を瀬戸山の靴箱へ入れる。

 

間違えて手紙を渡したとは気づいていない瀬戸山は、江里乃の事を諦める事は出来ず「まずは友達からで良いから」という事で瀬戸山と希美は交換日記を始める。

 

瀬戸山は交換日記の開いてが意中の江里乃ではなく、希美とは知らずに。

 

登場人物

ヒロイン:黒田希美

自分のやりたい事、自分の欲しい事を伝える事により「誰かが傷ついてしまうのではないか」と思い上手く自分の気持ちを伝える事が出来ない高校2年生。得意教科は英語。

 

私は「こんな高校2年生めったに居ない!」と感動してしまった。物凄い良い子。かつ、嘘をつくのが苦手。

 

現役女子高校生に対して大変失礼なのだが、女子高生ってのは自由で「え?そんな事やる?」みたいな突拍子もない行動に出る印象。自己主張も強くなるべく自分を通す印象が私にはあった。

 

確かに「言いたい事言えよ、さっさと」と思う場面がちらほら有り周りをイラつかせるケースもあるかもしれないが、相手を思っている事に変わりはなく、相手を思いやれる良いヒロインだった。

 

主人公:瀬戸山

ヒロインの希美とは真逆で伝えたい事は何も考えずにズバッと言える性格の高校2年生。得意教科は理系科目。

 

希美は「良い子」という印象でしたが瀬戸山は単純に「イケメン」、これに尽きる。少女漫画に登場する王子様をイメージして頂ければ間違っていない。よく見たら王冠被ってるかもしれない。

 

おばあちゃんと妹思いの優しいお兄ちゃんでもある。

 

私は「絶対この瀬戸山っていう人間を私は好きにならずにこの物語を読み終えるだろう」と思いながら読んでいましたが途中から惚れました、すいません。

 

希美と瀬戸山が付き合うという結末を知った上で読んでいたので、「江里乃に告白しておいて、どうして希美に移り変えるんだ!」と思いながら読んでいたからね。読み終えてから「最初から希美の事だったのかよ!勘違い男め!」という事で好きになりました。

 

江里乃

生徒会役員を務めており、成績も良く容姿も良くて多くの生徒に憧れの的になっている希美の同級生。

 

瀬戸山の性格と一緒で思った事をズバズバ言ってしまう事が多い。江里乃自身も「きつく言いすぎた」と反省する面もあり、強く物事を言わない希美を尊敬している。

 

優子

「ザ・女子高生」という印象の希美の同級生。世の中の多くの女子高生は優子みたいな子なんだと個人的には思っている。

 

ウソの交換日記

瀬戸山が江里乃に渡したつもりだった「好きだ」と書かれたメモ書きのラブレターが誤ってヒロインの希美に渡ってしまい、希美が江里乃のフリをし続けて瀬戸山と交換日記を続けた事により「交換ウソ日記」が出来た。

 

良く言われるのですが「1つウソをついたら重ねてウソをつき続けなければならない」この嘘の交換日記はその通りになりました。

 

なるべく江里乃のフリをして交換日記を書く希美ですが、「デスメタルの曲が好き」だったり自分の事を書いてしまう。ここからも希美が嘘をつくのが下手な良い子なんだと分かる。

 

希美の心情

希美は瀬戸山と仲が悪くなりたくないけれど、「交換日記の相手は江里乃ではなく、私でした」と伝えてしまえば楽になるかもしれない。けれど確実に瀬戸山とは仲が悪くなってしまうという不安。

 

また、瀬戸山は江里乃が好きで江里乃に告白をしたわけで、希美の事は最初から眼中には無く、交換日記が終わってしまえば瀬戸山とは関りが無くなってしまう可能性だってあった。

 

そこで瀬戸山と関わりを持ち続けるには「嘘に嘘を重ねる交換日記」を続けなければならなかった。

 

私は嘘をつき続けた事が無いので分かりませんが、高校2年生で長期間の嘘をつき続けるというのはどれだけの精神的疲労だろうか。と考えると心が痛む。

 

瀬戸山の公開告白

最大の見せ場が瀬戸山の公開告白だと思っています。私は「絶対に瀬戸山に惚れない」と思いながら読んでいましたが、この瀬戸山が希美の教室へ行き瀬戸山がブチ切れながらクラスメイトが多く居る中で告白したシーンを読んで惚れました。

 

これが無ければ瀬戸山に惚れる事が無かったのに!っと若干悔しい思いをしましたが、気にしません。それぐらいに瀬戸山の希美に告白するシーンは良かった。

 

「交換ウソ日記」を読み終えて

元が携帯小説という事もあり比較的読みやすい作品でした。一気に読めるぐらいに読み心地は良い作品。

 

「こんな恋愛をしたい!」と思う人が多いんじゃないでしょうか。櫻いいよ先生の作品はいくつか読んできましたがどの作品も同様に「こんな恋愛をしたい!しかし無理だ!けど小説内では夢を叶えてくれる素敵!」という作品が多い。

 

最後に新しい交換日記が瀬戸山から希美に渡されて正直「この先もこの2人はアナログで伝え合うのか、昭和か」と突っ込みました。けどこういう手書きで文字を伝えあう関係ってのも良いよね。

 

この先2人が上手く行くかは分かりませんが瀬戸山の発言の「そんなもん今から考えても仕方ないだろ」という発言から「そうだね、うん」と読んでる側も納得してしまった。

 

「交換ウソ日記」がオススメな人

少女漫画が好きな人

何度も書きますが瀬戸山が凄いイケメンです。眼鏡が好きな人に朗報ですが、瀬戸山は自宅で勉強する際には眼鏡を着用します。眼鏡大好きな私から言わせればもっと早くこの「瀬戸山は眼鏡を着用する」という情報が欲しかったぐらいです。

 

高校時代の雰囲気に戻りたい人

読みながら「あぁ、こういう同級生居たなぁ」と思いながら私は読んでいました。とりわけ優子みたいな同級生。そして、江里乃みたいな子も確かに1人居た。

 

希美と瀬戸山との恋愛ストーリーも良いのですが、希美とクラスメイトの友情関係もなかなか面白いのでその点にも着眼して読む事が出来ます。

 

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