石田空「神様のごちそう」
石田空先生の「神様のごちそう」を読みました。
手に取った理由としては「マイナビ出版ファン文庫?何それ?聞いた事の無い出版社じゃん!」という題名とか云々の前に初めての出版社の本を読んでみようという事で手に取りました。
いつものように至る所にネタバレがあるので、「ネタバレ嫌だわ」だったり「どうしてネタバレすんのよ!」と言う方はお読みいただかない様にご協力をお願いします。
あらすじ
ヒロインはある田舎の食堂の娘梨花。料理の専門学校で調理師の免許を取り、実家の食堂を継ごうと考えていた。
専門学校で春から使用する教材と割烹着を取りに行き、自宅へ帰宅する時、ある神社から音が聞こえた。その神社は「近づくと呪われる」と言われている神社だったが、音が気になり音の方向へ梨花は行く。
そこには、倒れて居る男性が居て、その音は男性が空腹でお腹が鳴っている音だった。梨花は持っていたきんぴらのケーキを渡し、その場を去ろうとするがその男は梨花を神域へ連れて行った。
神域には梨花をさらった男性と同様に空腹な御先様という神様が居て、梨花は御先様に料理を作る料理人になる。
表紙絵
私は普段文庫本を1冊から2冊は持ち歩いています。持ち歩くとなると、本の痛みが生じやすいので、布製のカバーをかけて居るのですが、結果として、読んでいる最中に表紙絵をほとんど見ません。
しかし、この本は表紙絵に「このキャラクターはこんなんね」というのが分かるのです。大事です。
私にとってころんが一体どういう生き物なのかが全然分からず「アレ?」と思いながら読んでいましたが、カバーを取り表紙を見てみると「ころんめっちゃ可愛いキャラクターじゃん!」という謎の驚きをしました。ころんに手と足があるイメージは無かったよ。
くーちゃんと花火はだいたい想像通りでしたが、文章だけだところんはなかなか分かりずからったです。もしくは私の想像力が不足している可能性があります。
感想
物語がトントン進むので現実世界で社畜の様に生きて居る私は「こんなとんとん拍子で世の中は上手くいかないよ」と思ってしまいました。が、これはファンタジーです。ファンタジーに現実世界の話は不要です。現実云々言わずにファンタジーに浸かるべきなのです。
読んでいて確実に「お腹が空いた」となります。
そして、主人公の口調が好き嫌いが分れるかもしれません。まず、ヒロインの一人称が「あたし」です。個人的に「あたし」が一人称になると文章が読みにくい。読み進めて行く内に慣れていきましたが何度かつっかえました。他にも何点か「読みにくいなぁ」と思う所が有りましたが、こういう本という認識で読み進めました。
終わり方は「うん、そうなるよね、予想通り」というオチでした。誰もが予想出来る範囲のお話です。誰もが予想出来る範囲のオチですが、それが1番幸せな終わり方なので良いのです。「御先様が現代で人間になる」というオチでなくて私は安心しているぐらいなのです。「邪神になるぐらいなら、俺は人間になる…!」とか言いだしそうじゃないですか、御先様なら。
それはそれで急展開過ぎて面白いのかもしれませんが。
続編があるみたいなので、気になる所です。もしかしたら本当に御先様は人間になっているのかもしれません。手に入れる機会が有るのなら入手して読みたい。
料理について
本の題名に「ごちそう」と有るので、多くの料理が出てきます。その料理は高級料理のフレンチやイタリアではありません。日本人なら慣れ親しんでいる和食です。
日本語で書かれている本なので、読み手はほとんど日本人だと思いますが、多くの日本人にとって和食はズドーンと空腹にぶち当たります。
この本に登場する料理が仮に上記で挙げた洋食だとすれば和食と比較すると強い空腹にはならないでしょう。「チーズたっぷりのピザ」や「オリーブオイルを使用したパスタ」なんてこの本には似合いません。
御先様がナイフとフォークを使用して料理を食べる姿を見てみたい所では有りますが。
どの料理も素材を大事にしています。現代の化学調味料の無い料理をヒロインは作ります。だから良いんだよ!という事。最初に至っては醤油すらないんだからね。
因みに、電子レンジと包丁で出来る料理しかしません。これを料理を言えるのか分かりませんが、十分に食事は摂れているのです。もちろん、神域には電子レンジもオーブンも有りません。かまどだけです。
「神様のごちそう」オススメな人
・真面目じゃない人
ファンタジーだったり空想を読んで「こんなのありえない!」と思ってしまう人は最初の数ページで読まなくなると思います。「神域?そんなのないない」と思いページを閉じる事でしょう。
空想にどっぷりつかれる方には夢中になれるとは思います。
・イケメンでツンデレな神様に会いたい人
個人的に御先様がツボでした。好きです。イケメンかつツンデレな神様です。
途中これは恋愛小説を読まされてるんじゃないか?と思うぐらいでした。分類としては恋愛小説では有りませんのでご了承ください